ニートが髪を切るなら、当然セルフカットでしょ
ニートはよ〜
美容院なんか行けねぇんだよ〜
美容院行くだろ?
名前伝えるだろ?
髪型とか伝えるだろ?
で、うやうやしく椅子に座らせられて、
「この後なんか予定とかあるんっすか?」
とか聞かれちゃうんだぜ?
あるわけねーだろ〜
この後もこの前も、何なら昨日も明日も、予定なんてね〜んだよ。
「君に髪を切ってもらうのが久々の予定だよ!」
なんてことは言えず、
「いや、今日は特に何もないんで、このまま家に帰っちゃう感じですね」
なんて適当に言葉を濁して何とか会話のパスを回すんだよ。
「休みの日ってどこか行きました?」
うん。バカか!!!行くわけねーだろ!!!この美容院が久々の遠出だよ!!!毎日休みだよ!!!
なんてことは言えないので、
「ちょっとコロナで怖かったから行ってないんすよねー。本当はもっと出掛けたかったんですけどねー」
という謎の陽キャアピール。
てことが疲れるので、私ははもっぱらセルフカットだ。
悲しいかな、どうせ髪の毛も少ない。
花が1000本咲いていれば、美しく見せることが出来るだろう。
100本では、美しさを維持しつつも、これ以上枯れないよう丁重に扱うことにシフトしていくだろう。
だが、10本まで減ってしまうと、もうお手上げだ。
リーブ21も真っ青だ。
そんなハゲ山に、技術の伴った人が手を入れる必要はない。
向こうだって、そびえ立つ数多の髪々に対抗すべく精神を統一させ、技とハサミとコミュニケーションスキルを磨いて日々努力しているというのに、そこに来たのがハゲたおっさんでは張り合いがないだろう。
その彼らの努力に協力するように、今日も私は自分で髪を切る。